ホームには電柱も立っている。これには根元に犬のオシッコほどの影がある。 私の影は、もうこれ以上小さくなれないというように靴のまわりにうずくまっている。
承前です。北回帰線をテーマに鉄道作家・宮脇俊三さんの本を紹介しました。ただ私の記憶に基づいて書いたので不正確でありました。どうも気になって(こういうところが私の性分でありまして)、市立図書館の書庫から『台湾鉄路千公里』を出してもらいました。宮脇さんが下りたのは、北回帰線下の嘉義駅ではなく、台湾最南端の枋寮でした。そしてここは北回帰線の南であり、夏至より前に太陽が正午に真上にくるようです。一〇時四五分,枋寮駅前で私は下車した。台北駅で入手した台湾全図では、国道の西側の少し離れたところに駅があるように描かれていたが、実際は道の東側のすぐ眼の前にあり、白い駅舎を背にした孫文像がこちらを見下ろしていた。枋寮は台湾最南端の駅で、高雄を起点とする屏東線の終点である。長さは六一・三キロで、途中の鎖安から東港線という六・...ホームには電柱も立っている。これには根元に犬のオシッコほどの影がある。私の影は、もうこれ以上小さくなれないというように靴のまわりにうずくまっている。
2025/07/04 06:40